じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 この冬は例年になく寒いが、秋〜冬に収穫された柿のほうは例年よりかなり安くたくさん食べることができた。写真左は、処分品として売られていた1個10円の柿。これに対して、トマトやミニトマトの価格は昨年夏以来ずっと高い状態が続いた。写真右のトマトは1個30円。ネットで調べたところ、昨年5月11日の日経新聞記事に
下落が続く野菜の中で例外はトマトだ。2月に「メタボリック症候群対策に効果がある」との研究が発表されたのを機に、ジュースなどの特需が発生。加工品にとどまらず新鮮なトマトの需要も急増している。
とあったが、夏以降もずっと高い原因は不明。

 なお、この冬のミカンの値段はまあまあで、正月以降は値上がりしたものの、近くの直販所で中粒1個20円くらいで売られていた。



2013年01月15日(火)

【思ったこと】
130115(火)すイエんサーガールズが一回戦で京大に勝った理由

 夕食時に、

NHK 京都大学VSすイエんサーガールズのペーパーフライ対決、第1回戦

という番組を視た。すイエんサーは面白そうなテーマであった時に録画しており、この日記では、2012年5月24日の日記および翌日以降の日記で「究極のじゃんけん必勝法」という話題を取り上げたことがあった。

 さて、今回のテーマ(1月8日、15日、22日の計3回放送)は、「ペーパーフライ対決」という競技。ルールは、
  • A4の紙で作った構造物を5メートルの高さから落として、地面に着くまでの滞空時間を競う。
  • ここでいう構造物とは、A4の紙を余すところなく使い、ハサミで切ったり、穴を開けたり、折ったり、糊付けすることで作られたものをいう。
  • 落とす時に、横に投げたり回転させたりしてはいけない(両手で支えて静かに落とす)。
  • 競技はルールを変えて2回行われる。このうち、今回の一回戦では、各チーム4名がそれぞれ構造物を落とし、その中で最も長かった滞空時間をチームの記録と見なす。
となっていた。なお、1月22日(火)には「ルールを変えて、最終決戦となる第2回戦に突入です」となっていたが、どのようなルールでどう展開するのかはお楽しみとなっていて現時点では分からない。

 さて、1月8日の1回目の番組を見た時に私が思いついた構造物はせいぜいパラシュート型で、あまり奇抜な形は浮かばなかった。しかしパラシュート型は、重りの部分に紙をたくさん使用すると傘部分が小さくなって空気抵抗が減ってしまう。逆に重り部分を軽くするとひっくり返ってあっという間に落ちてしまう。いろいろ工夫を重ねた結果、1月15日で紹介された構造物は、京大チームのほうが「手裏剣タイプ」、すイエんサーガールズチームのほうが「じゅうたんタイプ」というものであった。

 このうち、「手裏剣タイプ」というのは、空飛ぶ円盤型とも呼べるような形をしていて、抜群の安定性を保ち、回転しながら落下していった。一方の「じゅうたんタイプ」は、A4用紙の隅の一部を角が丸くなるように切り取って、これを四隅の重しとして糊付け、全体がハングライダーの羽根のように丸みをもつように加工されていた。「じゅうたんタイプ」のほうは、左右に揺れながら時々舞い上がるというきわめて不安定な落ち方をしたが、うまく舞い上がった場合には滞空時間が長くなった。その結果、
  • 京大チーム 4.18 4.34 4.57 3.37
  • すイエんサーガールズチーム 4.53 6.44 6.88 4.91
となって(数値は秒)、「最も長かった滞空時間をチームの記録と見なす」というルールに基づき6.88秒のすイエんサーガールズチームが4.57秒の京大チームに勝利するという結果になった。




 ではなぜ、【1回戦で】京大チームは敗れたのか。それは決して、「手裏剣タイプ」という構造体が「じゅうたんタイプ」より劣っていたからではなかった。彼らは、予備実験の段階で、紙が縦方向に傾くと急激に落下して滞空時間が短くなることを観察し、そのような傾きを無くすために、安定して回転しながら落下する構造体を作ろうとしたのであった。いっぽうすイエんサーガールズチームのほうは、不安定に落ちることで「舞い上がる」というチャンスがあることを利用した。1月15日の番組の最後のほうでも、「今回のルール上、4人のベストタイムが記録になることを考えれば、非常にいい戦略だったと思います。」とコメントされたように(藤 定義 准教授)、ルールの特徴をうまく活かした上での勝利であった。

 こうした戦略は、今回の競技以外でも広く一般化ができる。要するに、ベストタイムや最長不倒が争われるような競技や応用技術であれば、10回中10回とも好記録を出す必要はない。不安定でもよいから、とにかく10回に1度の確率で、素晴らしい結果が出ればそれでよいのである。いっぽう、もし、10回の合計タイムや合計得点を争うような競技や応用技術ということになると、安定性が強く求められる。こうしてみると、最高記録のみが採用されるスポーツの投擲(投てき)種目や跳躍種目と、合計得点で競われるスキージャンプなどでは、安定性をどこまで磨くかという点で練習方法も変わってくるのではないかと思われる。このほか、例えば、陶芸で、100個を窯に入れて1個の最高傑作を創り出そうという場合と、100個の均質な製品を作って売り出そうという場合では、作り方や焼き方も変わってくるのではないかとも思われる。もっとも、私自身はスポーツや陶芸のことは全く分からないので、もっと別の方略があるのかもしれない。

 ということで、次回1月22日の最終決戦とやらが大いに楽しみ。