じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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2月10日(金)

【思ったこと】
_60210(金)[心理]ユジンとチュンサンの血液型(前)

 昨日の日記では韓国映画「B型の彼氏 MY BOYFRIEND IS TYPE-Bを取り上げたが、その余談として「冬のソナタ」の中にも、「血液型偏見」を助長するような台詞が一箇所だけ挿入されていることにふれた。第四話で、ユジンとミニョン(チュンサン)が2人だけで初めてスキー場に下見に行く時、車の中で交わされた会話の一部であった。

 このことが気になったので、夜、このシーンについて、NHKで放送された日本語吹き替え版と、「冬のソナタ」ノーカット完全盤 韓国盤を再生して台詞を抜き書きしてみた(但し、私は韓国語が全く分からないので、英語字幕を書き写すことしかできない)。

 まず、NHK日本語吹き替え版のほうの台詞は
  • ミニョン:ユジンさん、A型でしょ。正直者で自分の感情をごまかせない、嘘はつけなくて、そのくせ本当に言いたいことも言えないで鬱々とする。違います?
  • ユジン:やめてください。私のことを知りもしない人に知ったかぶりされるのは不愉快です。
  • ミニョン:それじゃ当たったんだ。当たってなきゃ不愉快なはずもないし。
  • ユジン:あの、理事...
  • ミニョン:イ・ミニョンです。僕のことをどうしても役職で呼びたい理由が無いのなら、名前でどうぞ。僕も名前で呼んでるんです。


 いっぽう、韓国盤の英語字幕のほうは
  • ミニョン:You're a type A, aren't you? You're straightforward, honest, and can't lie, but the things you really want to say, you keep to yourself.
  • ユジン:Please stop. I don't appreciate someone talking as if he knows me.
  • ミニョン:I hit a nerve. You wouldn't feel so uncomfortable if I were wrong.
  • ユジン:Mr.Lee...
  • ミニョン:I'm a type A too. I'd rather you called me by my first name, like I'm doing with you.
となっていた。




 この2つのバージョンを比較して私がどうしても考えなければならないと思うのは以下の3点である。
  1. なぜこの場面で、血液型性格判断の会話を挿入しなければならなかったのか。
  2. 日本語版では、なぜ「I'm a type A too. 」というミニョンの言葉がカットされてしまったのか。
  3. ここで「血液型」ネタを使うなら、もう少し別の伏線として活用できなかったものか。





 まず、上記1.の点であるが、まだ読みかけの

もうひとつの冬のソナタ チュンサンとユジンのそれから(ISBN:484701569X)

の中にはこのことについての意図は記されていなかった。

 いちばん考えられそうな推測としては、「血液型ステレオタイプ」を利用して、ユジンが「正直者で自分の感情をごまかせない、嘘はつけなくて、そのくせ本当に言いたいことも言えないで鬱々とする。」という性格であることを観客に刷り込ませる効果を狙ったということが考えられる。

 ところで、韓国盤の英語字幕では、ミニョンが「I'm a type A too. 」と喋ったことになっている。いっぽうNHK吹き替え版では上述のようにこの台詞がカットされている。NHKが当初放送した吹き替え版では、時間短縮のためにいろいろなシーンがカットされてしまったことは周知の事実であるが、ここで指摘したことはシーンのカットではなく、同じ会話時間の中での台詞のカットである。シナリオ制作者や監督に断った上でのカットだったのだろうか?「ボクも同じA型なんですよ」という一言があるか無いかで、効果はまるで違ってくると思うのだが、NHK吹き替え版ではなぜこれをカットしてしまったのだろう。

 ま、それはそれとして、韓国盤でミニョンが語った「I'm a type A too.」にはどういう効果があるのだろうか。

 まずミニョン自身としては、「ユジンさん、僕も一緒なんですよ」と共通点を示すことで、仕事上のおつきあいを円滑にしようという意図があったと考えれば納得できる。

 次に制作者側としては、「血液型ステレオタイプ」を利用して、ユジンばかりでなくミニョンも「正直者で自分の感情をごまかせない、嘘はつけなくて、そのくせ本当に言いたいことも言えないで鬱々とする。」という性格であることを観客に刷り込ませる意図があったのかもしれない。

 さらに、ユジンもミニョンも同じ血液型であるという事実を示すことで、「2人は異母兄妹」という展開を暗示する伏線になっていたという深読みもできるが、ま、兄妹であっても血液型は同じとは限らないから、これはちょっと考えすぎかもしれない。

 ところで私個人は、このシーンでどうしても血液型ネタを使うのであれば、ユジンの血液型はO型であるという設定にしたほうが面白かったのではないかと思っている。書き換えると次のようになる。
  • ミニョン:ユジンさん、A型でしょ。正直者で自分の感情をごまかせない、嘘はつけなくて、そのくせ本当に言いたいことも言えないで鬱々とする。違います?
  • ユジン:やめてください。私のことを知りもしない人に知ったかぶりされるのは不愉快です。
  • ミニョン:それじゃ当たったんだ。当たってなきゃ不愉快なはずもないし。
  • ユジン:いえ、全然当たっていません。私はO型です。血液型性格判断なんてあてになりませんよ。

としておけば、後の展開が面白くなったと思う。なぜユジンはO型でなければならないのかについては、明日の日記に続く。