970624(火)
[心理]血液型と性格をまじめに考える(7)
 これまで、血液型性格判断は、まじめな話であるが、科学的には何も実証されていないということ、そして当たっていると見せかけるために、統計上のさまざまなトリックが駆使されていることを指摘してきた。しかし、血液型性格判断が当たっていると思われる理由は、他にもまだ3つ以上ある。
 大村政男先生は、この3つを、フリーサイズ効果、ラベリング効果、インプリンティング効果と読んでいる。フリーサイズ効果という呼称はそのまま使わせていただくが、ラベリング効果とインプリンティング効果はちょっと誤解を招く恐れがあるので、ここでは、“思いこみ効果”、“条件づけ効果”というように読み替えておくことにしたい。
大村センセイは血液型性格判断を系統的に批判した最初の心理学者である。もっとも、いたずらウォッチングという番組に出演したあたりから、だんだんアブナイ(何がアブナイのかは御想像にお任せするが、エッチな話ではない。念のため)話が多くなってきて、心理学仲間では、ちょっと心配する声があがっている。

 きょうは、そのうちのフリーサイズ効果だけについて述べる。実験のために、あらかじめ、“おっちょこちょい”、“たまには腹を立てる”、“たまに忘れ物をする”、“時々やる気がなくなる”というような、本来誰にでもありそうな特徴表現を用意しておき、適当に4種類の血液型に対応づけたとする。例えば、“A型は、おっちょこちょい”、“O型は、たまには腹を立てる”、“B型は、たまに忘れ物をする”、“AB型は、時々やる気がなくなる”などと勝手に決めておく。ふつう、われわれは、自分の血液型、もしくはごく親しい人の血液型の特徴だけにしか注意を向けない。そこで、例えばO型の人は、“あなたは、たまには腹を立てる”と書いてあるのを見て、なるほど当たっていると思う。同じく、B型の人は“たまには忘れ物をする”のでやっぱり当たっていると思う。本当は、どの血液型であっても、そう言われれば当たっているというような特徴なのだ。
 フリーサイズとはちょっと違うが、基準が曖昧な特徴表現もよく用いられる。先日のTV番組で、血液型別の縦割り保育をやっている保育園で、血液型別のグループに分けてスイカを食べさせる場面があった。残った皮の部分を比較すると、A型だけは、赤い部分が残らないようにきっちり食べたが、B型は食べ残しが目立ち、O型は大まか、AB型は、きれいなものや雑なものが目立つ、という結果になった、と紹介されていた。A型の子どもたちだけがキリギリスのように赤い所を残さず食べた事実は認めるとして(このことについては、後述する予定)、他の血液型の子どもたちの食べ方は、どう見ても区別つかない。“食べ残しが目立つ”ことと“大まかな残し方”をすることと、“きれいなものや雑なものが目立つ”残し方をすることが、どう違うのか、少なくとも私にはさっぱりわからなかった。
 血液型性格判断資料集のテレビ番組紹介の6.の表を見ると、いかにも血液型によって性格が異なるような印象を受ける。しかし、自分の性格を考えてみてほしい。下記の特徴の中で、自分には絶対あてはまらないという特徴がいくつあるだろうか。一方、これは自分の絶対不変の特徴だというものがいくつあるだろうか。どれもこれも、“そう言われれば、そういう所もある”ような特徴ばかりである半面、“24時間いつでも”というほど絶対的に強固な特徴とも言い切れないようなものばかりではないだろうか?
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