じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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8月31日(土)

【チベット東部旅行記(5)】_20831(日)[旅行]初めて「透明人間」になる

[今日の写真]  今回の旅行では、徳格(デルゲ)、玉樹(ジェクンド)という比較的大きな町にそれぞれ連泊した。午後の自由行動の時間に街の中を散歩してみたのだが、そこで、これまでの海外旅行では味わうことのできなかった珍しい体験をした。それは
  1. 日本人には誰一人出会わなかったこと。
  2. 街の中を歩いている時、誰一人私に関心を向けなかったこと。
の2点であった。

 海外の名所では、しばしば日本人の観光客の多さにウンザリすることがある(←といって、その中の一人は私自身なのだが)。昨年のカナダ旅行でも(←特にカナディアンロッキーやナイヤガラ)、一昨年のカラコルムハイウェイでも、もう1年前のイランでも、日本人観光客はいたるところにウヨウヨしていた。ところが、今回は、当日にそれぞれの町に滞在した日本人は我々のグループのみ。そのメンバーは、ホテルで休息中か、店の中で買い物に熱中していた模様で、街角では全く出会うことがなかった。これでやっと、「ここは日本ではないんだなあ」と実感することができた。

[写真]  もう1つ、これは意外だったのだが、街角で物売りに呼び止められることは一度も無く、市場[=写真左のような場所]での取引を遠巻きにのぞき込んでいる時も私の方に視線を向ける人は誰も居なかった。

 中国国内でも、大都市の観光地ではそういうわけにはいかない。日本人観光客だと分かると執拗に物を売りに来る。チベットと黄土高原の境界として知られる日月山でも物売りが多く閉口した。

 徳格や玉樹の街中で「透明人間」になれたのは、私の格好が現地の人たちに似ていたためではないかと思う。チベット族がかぶる羊皮の帽子に、中国製の作業用ジャンパー、旅先で捨てようと思って持ってきた古着のズボンという格好(写真右上参照)なのでそれほど目立つことはない。

 もう1つ、これは旅行後にふと思ったことだが、現地の人たちには似ていないが、日本人ではなく「漢民族の変人」に見られたという可能性もある。かつて旧ソ連の中央アジアを旅行した時にも、ウズベク、タジク、トルクメン、カザフの人たちは、ロシア人にはよそよそしい態度をとることが多かったように思う。漢民族とはなるべく関わりたくないと思っているチベット族も少なくはないのかもしれぬ。もっとも、チベット族のガイドさんに何族に見えるかと聞いた限りでは、私は漢族よりはチベット族に似ているとのこと。いや、これはお世辞だったかもしれないが.....。