8月23日(月)

【イランで思ったこと(4)】
990823(月)[旅行]ノンアルコールで何が変わるか

[イランの写真]  イランでは酒類の販売が一切禁止され、ホテルのレストランでもビールやワインが提供されることは決して無い。写真は「ノンアルコール・ビール」と称するもので、一度だけリクエストしてみたが、麦茶が腐ったような味がして到底飲み干すことができなかった。もともと私自身は個人的には忘年会とかオフミのようなつき合いの場以外では一切酒を飲まないので仮にイランで丸1年暮らしたとしても何の支障も出てこないが、日頃から晩酌を楽しむような方は一週間の断酒は結構堪えたのではなかったかと思う。

 一般市民が全く酒を飲まないのか、非公式ルートで販売されているのか、あるいは家庭内で密造されているのか、このあたりの事情は一観光客には分からなかった。いずれにせよ、公的に禁止されているわけだから、生活慣習に大きな影響を与えていることは間違いない。

 例えば、日本型のカイシャ社会では仕事が終わってから「部下と一杯飲みに行く」ということが指揮系統の円滑な運用に大きく貢献していると思う。それ以外の交流の場でも、酒でストレスを解消したりホンネを出し合ったりする効用は大きいと思う。それらが公的に禁止されているとすると、何が代役を果たしているのか、大いに関心のあるところだ。いずれ、イランからの留学生を受け入れる機会があったら、そのあたりの調査をしてみたいと思った。

 「ちょっと一杯」というカイシャのつき合いが無いせいだろうか、いずれの都市でも、暗くなってから家族連れが川べりや公園にシートを敷いて夕食を食べながらくつろいでいるところを目にすることが多かった。皆既日食の翌日の晩に、ペルセウス座流星群見物のため深夜にタクシーをチャーターして郊外まで出かけたことがあったけれど、その帰路、25時頃になっても、途中のコーラン門の広場には家族連れがたくさん残っていた。ひょっとすると、ノンアルコールの影響が家庭中心の生活スタイルを形作っているのではないかという気もしたが、そもそも、各都市とも、真っ昼間から若者たちが町にあふれており、アルコールの有無に関わらず、営業目標達成とか責任問題に絡むストレスがどの程度あるのか、いまひとつ分からないところもあった。