8月20日(金)

【イランで思ったこと(2)】
990820(金)[旅行]地球は禿げていた?シルクロード天山北路の真上を飛んだ直行便
[今日の写真]
 今回の旅行は日食見物が目的だったので、飛行機がどのルートを通るのかということなど事前には何も調べていなかった。

 成田を離陸したあと前方のスクリーンや外の景色を頼りにルートに注目していると、まず、関東上空から甲府、さらに福井県沖の日本海上空へと出た。この時点で、ロシア経由や南廻りルートの可能性が消えた。進行方向左側の窓からさらに景色を眺めていると、琵琶湖北部、丹後半島・天橋立、鳥取砂丘、大山、中海・宍道湖など馴染みの場所が海越しに見えた。鳥取砂丘などは、海岸のほんの一部が茶色くなっている程度。砂漠にはほど遠い景色だった。

 隠岐上空あたりからやや北西よりのコースを通り、韓国上空へ。耕地や都市は日本と全く変わらず、前方スクリーンの案内がなければ未だ日本上空を飛んでいると思いこむほどだった。

 飛行機はさらに、ソウル上空から北朝鮮との境界ギリギリを西進し黄海へ。さらに北京上空を通過した模様だが、このあたりはずっと雲に覆われていて何も見えず。

 やがて雲が晴れたところは、見渡す限りうす茶色の禿げ山ばかり。よく見るとところどころ耕地になっていたが緑は見えない。その耕地もじきになくなり、月か火星のような景色が続く。けっきょく、全行程10時間のうち7割方は、こうした景色ばかりだった。大陸がいかに乾いているか、温暖化がこのあたりの耕地にどれほど深刻な影響を与えるかを目の当たりに感じた。

 コースの後半は、河西回廊、ウルムチ〜タクラマカン北端〜イシク湖南側(右側の席に座っていた人はよく見えたそうだ)、ウズベキスタン、トルクメニスタンを通ってテヘランに着陸。成田を離陸したのは15時頃であったものの西方向に進んだため、ウズベキスタン上空までは日が沈まなかった。

 機上からの眺めの中でも圧巻は、河西回廊付近での祁連山脈からチベットにつながる山並みと、ウルムチ付近で眺めた天山山脈。写真は、確かボゴダ峰とか呼ばれているもので、天池も視野に入っていた。

 座席の位置によって不公平を生じるため、ふつう団体ツアーでは機上からの眺めは全く宣伝されていないが、今回は、シルクロード天山北路の全貌を眺められるという幸運に恵まれた。確実に窓際に座れ、晴天が保証されるのであれば(ちなみに帰路は殆ど雲ばかりだった)、観光地巡り無しで同じルートを飛行機で往復するだけの旅行があったとしても同じ代金を払って惜しくないという気がした。