じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 妻からもらったチョコレート。





2月14日(木)

【ちょっと思ったこと】

8時間睡眠は命を縮めるか?

 2/15の朝日新聞に米国の約110万人を対象に行われた睡眠調査の結果が紹介されていた。カリフォルニア大学サンディエゴ校と対がん協会が協力し、調査開始時30〜104歳を6年間調査、年齢・食習慣・運動・病歴・喫煙などの要因を考慮した上で、睡眠時間と死亡率の関係を算出。それによれば、8時間睡眠の人の死亡率のほうが6〜7時間の人より1割ほど高かったという。また、8時間以上睡眠の人の死亡率は、5時間睡眠の人よりも高かったという。

 このデータは米医学誌『一般精神医学論集』15日号に掲載されているということで、それを読まなければ正確な判断はできないが(←たぶん読んでも、ワカランだろうが)、統計学的にはたぶん、こんなことを言っているのだろう。

●ある人の余命は、年齢、食習慣、運動、病歴、喫煙などの要因を勘案すると、(例えば)90%の確率でn±α年であると予測される。そのさい、その人が何時間睡眠しているのかという情報があれば、nの値は多少変わり、αの値はより小さくすることができる。

 ここでもし、睡眠時間という情報がnを変えたり、αを小さくする力を持たないならば無意味ということになる。実際には上記のように死亡率を1割も変動させるほどの力があるので、情報としては無視できないことになる。

 もっとも、そのことから直ちに、睡眠時間が余命に影響を及ぼす原因になっているとは結論できない。今回検討されていない別の要因、例えば、ある種の体質とか、睡眠の深さ、リズムなどが原因になっている可能性もある。少なくとも、いま8時間睡眠で規則的に生活している人が無理やり6〜7時間に睡眠を減らしても余命を伸ばすことはできないと思われる。

 ちなみに私自身は、特別の事情(宴会、旅行帰りなど)が無い限りは、たいがい22時半から23時のあいだに就寝、朝は5時半から6時ころ起床という生活をきっちりと守っている。ということは、睡眠時間は6時間半〜7時間半。夜明け前の4時半〜5時頃にいったん目が覚めることがあるが、幸い、不眠に悩まされたことはない。上記の調査に含まれていたのかどうか分からないが、睡眠時間の長さよりも起床・就寝の規則性のほうが重要ではないかと思うのだがいかがだろうか。




水星の見える家

 このところ東南東の空に水星が見えるようになってきた。太陽から最も離れた位置に見えるのは(=西方最大離角)2月22日で26度余り。もっとも地平線からの高度では15度にすぎない。天文薄明時間がマイナス18度であることから分かるように、東の空が明るくなりかけた時にやっと眺められる高さである。

 毎朝6時前に10分間程度散歩をしているのだが、歩いている最中には水星を眺めることはできない。アパートのベランダに立って初めて眺められるのである。こう考えてみると、今のアパートもそう捨てたものではない。家に囲まれた二階家に住むよりも遙かに眺めがよい。一時期は結構ひんぱんに売家探しに出かけたものだったが、いま考えると、かえってアパートやマンションのほうが過ごしやすいような気がする。水星に限らずとにかく眺めがよいこと、他にも、戸締まりが容易(玄関のドアをロックするだけで済む)、建て替えやリフォームに気を遣うことがない、何かあった時でもご近所から助けてもらえる、などのメリットも多い。どうやらこのまま定年までアパート暮らしを続けそうだ。
【思ったこと】
_20214(木)[心理]今年の卒論・修論研究から(8)その後気づいた点、いくつか

 今年度の卒論・査読分をほぼ読み終えた。その後気づいた点をいくつか書き留めておきたい。

高不安群と低不安群

 大学生に「不安テスト」を実施し、高得点者を高不安群、低得点者を低不安群に分離して何らかの実験を行う研究を、毎年のように見受ける。しかし、大学の授業を受け、面倒なアンケートに協力する学生の中に、そんなに高い不安をもった人が混じっているとは思えない。「並み」程度の不安を持ったグループ内でのドングリの背比べになっている可能性はないかなあ。
 また、いったん2群に分けてしまって有意差があると、すぐ、「高不安の人は....であり、低不安の人は....であった」というように解釈してしまいがちであるが、上記のような「ドングリの背比べ」のもとでは、「ちょっとばかり周囲に影響されやすい人」と「100%ノー天気で何事も気にしない人」を比較している可能性もある。
 このほか、不安得点はもともと高い人から低い人まで多種多様な値をとっているのに、その量的な情報や、中央値部分の人々の特性を捨て去ってしまうことにも別の問題がある。もしかしたら、「高不安」と「低不安」が同じ傾向を示し、「中不安」の人だけが別の傾向を示すということだってあるかもしれない。例えば、卒論執筆活動など、「高不安」の学生はなかなか手につかず、「低不安」の学生はのんびりしすぎて怠けることで、どちらも停滞しがち。「中不安」の学生だけが適度に焦ることで頑張るという可能性だってある。

共分散分析の留意点

 共分散分析では「共変量は、実験変数の操作によって影響を受けていてはならない」(森・吉田、1990、p.282)と記されているが、この留意点を守っていないように見受けられる論文があった。

ピアソンの相関係数

 ピアソンの係数は本来、距離尺度や比例尺度であるような連続変量の相関を取るのに適した指標である。ある論文では、Eメイルを使用する頻度を「毎日」、「一週間のうち2〜4日」、「一ヶ月のうち2〜4日」、「使用しない」というようにカテゴライズして4段階に「得点化」し、それと別の尺度得点とのピアソン相関をとっていたが、順序尺度を変量にとるのは間違っている。それと、こういうカテゴライズされた順序尺度の場合は、グットマン・クラスカルの順序連関係数のほうがよいのではないかと思った。