じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 節分。子どもが小さい頃は、こういう格好をするとキャーキャー喜ばれたものだが、今では「くだらない」「勝手にやれば」などと冷たくあしらわれている。





2月3日(日)

【ちょっと思ったこと】

グローバル化を嫌う日本人?

 ニューヨークで開かれている世界経済フォーラム年次総会で1日に発表された世界25カ国の世論調査によれば、「グローバル化が働く者の権利や労働条件、給与をどう変えるか」という問いに「良くなる」と答えた日本人は16%で25カ国中で最低、逆に「悪くなる」と答えた日本人は67%でアルゼンチンに次ぐ高さであったという[各1000人への電話調査。2/3朝日]。このほか「貧困、ホームレスの改善」、「環境への影響」、「世界の不公平の解消」に関する問いでも、日本は最も悲観的な見通しを示した国の1つであったという。

 回答者は「グローバル化」という言葉から何を連想していたのだろうか。外国、特に中国からの輸入品がデフレを加速しているという某大臣の見解に賛同しているのか、それとも、たまたま不況がますます深刻化しつつあるという変化と、グローバル化からもたらされる変化が共変関係にあったために因果的判断を誤ってしまったためなのか。このあたりは資料が無いので分からない。

 もっとも、クリティカルシンキングの啓蒙書でもたびたび指摘されているように、世論調査では、
  • 直接的な個人体験
  • わかりやすさ
  • 利用可能性ヒューリスティクス
  • 代表性ヒューリスティクス
などが判断を大きく左右する。

 じっさい私自身の身の回りから感じ取れることといえば、ラーメン屋やファミリーレストランの倒産、大型店舗の倒産、株式指標の低迷など、「グローバル化」と時を同じくして起こってきた変化はみなマイナスばかり。

 それと、いまこれを書いている机のまわりを見渡してみると、外国製品が圧倒的に多いことに気づく。たとえば、今使っているトラックボールはマレーシア製、すぐ近くにあるサンヨーのビデオは中国製、机の上の各種電源アダプターを見たら、中国製1個、台湾製3個となっていた。

 私が小学生の頃までは「日本製は安物」という舶来品指向があり、世界に誇れるのは時計とカメラと造船ぐらいという時代であった。それが中学をすぎたあたりから日本製品は何でも世界一と言えるくらいに急成長、それがどうしたことか、今は、アジア地域で組み立てられた品ばかりになっている。安く手に入るのは結構なのだが、生活が苦しい時期にそういうものを目の当たりにすれば、グローバル化に対するマイナスイメージが助長されるのはごく自然かもしれない。




世界最高齢者

 世界最高齢者に1889年生まれの中願寺雄吉さん(福岡県)をギネス認定。そう言えば私の祖父の一人は12年前に96歳で亡くなっている。長生きしたということで戒名に「全寿院」という院号がつけられたが、いま生きていてもまだ108歳。112歳というのは気の遠くなるような長生きだと実感させられる。




小泉政権支持率急落

 田中前外相の更迭と川口順子新外相就任を受けて行われた朝日新聞社の全国世論調査(2/2〜2/3実施、電話による)によれば、小泉内閣の支持率は49%で、前回1月調査の72%から急落、発足以来の最低を記録したという。また、田中前外相については「評価する」が65%「評価しない」は24%、田中氏を更迭させたことを「よかった」18%「よくなかった」69%、NGO混乱を招いた責任は「外務省官僚」40%「鈴木宗男代議士」39%「小泉首相」11%「田中前外相」2%などとなっており、この調査を見る限りは、田中前外相は正義の味方、それを辞めさせたことへの失望感が広がっているという現状にあることが読みとれる。

 私は、個人的には、田中前外相が外交問題で目をみはる成果を上げたとは思っていない(世論調査では「よくやった」46%「そうは思わない」44%)が、不正疑惑の解明では単身でよく頑張ったと思う(外務省改革については「よくやった」78%、「そうは思わない」14%)。日記読み日記にも書いたのだが、いま思えば、田中眞紀子氏は外務大臣ではなく「外務省各種不正疑惑解明特命大臣」のほうがよかった。いっぽう外務大臣は外交経験豊かな方に限るべきで、そういう意味では、川口氏には期待できそうだ(川口新外相に「期待する」58%「期待しない」29%)。

 それにしても今回の騒動、族議員に取り囲まれた「抵抗勢力」との対立に加えて、親米、親中、それに北方の某大国系の存在も侮れないように思う。「NGOをめぐる問題は決着した」5%「決着していない」90%という世論の力をバックに、予算や経済全般の諸課題と切り離して、真相の解明を徹底させてもらいたいものだ。
【思ったこと】
_20203(日)[心理]今年の卒論・修論研究から(1)執筆指導で強調したこと

 恒例の卒論・修論リビュー。今回は、締切前に卒論執筆指導として掲載したコメントファイルの中から一般性のあるものを箇条書きにしてみよう。
  • 論文題目
    • 「〜について」、「〜についての研究」、「〜についての探索的研究」などは冗長です。
    • 探索的研究の場合、あとから分かったことを題目に入れるのはやめておいたほうがいいです。
  • 序論
    • 研究全体のアウトラインを冒頭の段落に挿入すると読者が理解しやすくなります。
    • 1つの段落の中に複数の話題が混在し凝縮されすぎています。
    • 「探索的研究の結果、後から分かったことと」と「あらかじめ研究の成果として期待していたこと」は区別して書いたほうが成果が強調しやすくなります。
  • 方法
    • 実験条件の呼称は「A条件、B条件」などとせず、それを見ただけで内容が推測できるような呼称にしてください。
    • 具体的な記述の前に、インフォーマントをどのような基準で選んだのか、理由づけをしておく必要があります。
    • 「できるだけ具体的に聞いた」という部分をさらに具体的に。例えば「具体的にやっていること、どういう結果が伴っているかなどに配慮して聞いた」というように。
    • 序論とも対応しますが、面接対象者がどのような基準で選ばれたのか、理由づけをする必要があります。「筆者の知人に紹介してもらう形で集めているため」であったにせよ、紹介された人が研究の目的に合致する方であるかどうかは何らかの基準で選ばれているはずです。
  • 結果
    • いきなり事例の紹介に入っていますが、どのような手順で結果を記述するのか、まず手順を述べたほうが分かりやすいでしょう。
    • インタビューを主体にした研究で「結果」と「考察」をどう区分していくのかは、いろいろ議論があるかと思いますが、「直接聞き取った事実あるいは客観的な分類→結果」、「聞き取った内容についての考察、仮説の提示」→考察というように分けて書くことが基本かと思います。
  • 考察
    • 総合考察では、まず、実験全体で何が分かったのか、何が不明のままに終わったのかを要約してください。
    • 実験から総合的に得られた成果をまず強調してください。要約的な段落が1つだけで、そのあとに「しかし...」と続くと、自己否定をしているような印象を与えてしまいます。
    • 今回の実験で得られた成果を強調する段落を2〜3ページは入れてください。
    • 心理学の卒論として評価を受けるには、心理学特有の解釈が必要になってきます。
    • 2つの実験から総合的に得られた成果をまず強調してください。要約的な段落が1つだけで、そのあとに「しかし...」と続くと、自己否定をしているような印象を与えてしまいます。
  • その他
    • 「反省」というのは通常の論文では出てこない見出しです。
 で、いちばんのポイントは何かと言えば
遅くとも、提出締切日の昼までには、いつでも提出できる状態の論文原稿を揃え、ファイルに綴じ込んでおくこと。そのあと余力があれば、加筆修正で差し替える。差し替えが困難な時は、昼時点で用意した論文をそのまま提出する。 これをやっておかないと、ギリギリになってとんでもないミスをおかすことになる。