じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

8月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

[今日の写真] バンクーバーからエドモントンに向かう飛行機から眺めたコロンビア大氷原(写真左)。地図と照らし合わせてみたところでは、中央より左上のとがった山が最高峰のコロンビア山3745m。右下方向に伸びる白い帯はSaskaatchewan氷河。右端がアサバスカ山3493m。その裏がアサバスカ氷河(見えていない)。さらにその上がスノードーム3520m。(スノーコーチを営業しているBREWSTER社のパンフレット掲載写真ではSaskaatchewan氷河をアサバスカ氷河であるように説明していたが、山の位置関係から言って上記のほうが正しいのではないかと思う)。
この大氷原から流れ出る川は、太平洋、大西洋、北極海の3大海に向かうという。
左の写真はアサバスカ氷河上を走るスノーコーチ。左手には縦方向にクレパスが見えている。一般観光客が行かれるのは、写真で見えている道路を登り詰めた所までであり、大氷原を眺めることは全くできない。
昨年訪れたカラコルムハイウェイ沿いの氷河に比べると、氷の色は汚れが少なく美しく輝いていた。近くに砂漠が無いせいかもしれない。もっとも、人跡未踏の7000m級の氷河に比べると、神秘性という点では物足りないところがある。
[今日の写真]



8月27日(月)

【ちょっと思ったこと】

夏休み終わる

 大学の夏休みは8月と9月の2カ月間に及ぶが、これは平常授業が行われていない期間という意味にすぎない。教職員が比較的自由に年休をとれるのはお盆の前後の10日間程度に限られている。

 8/27は、休暇後の初出勤となったが、初っ端からエラいミスをしてしまった。14時からの前期卒業者卒論試問に20分も遅刻してしまったのである。私の予定表では、卒論試問は29日に行われると記されており、呼び出しを受けてアッと驚いた次第。今週は、夏休み明けの会議が連日続くが、もういちど日時の確認をしたほうがよさそうだ。




漂流1カ月の謎

 各種報道によれば、長崎県瀬戸町の漁師(50)が3.3トンの漁船で操業中にエンジン故障。7/24に五島列島付近で修理業者に携帯電話で連絡を入れたのを最後に漂流し、26日になって犬吠埼の東約800kmの海上で発見され無事救出されたという。

 漂流が始まった時点では45リットルの水があり魚を糧としていたものの、最後の2週間は飲まず食わずの状態で台風11号の荒波に巻き込まれていたというから、大変な生命力の持ち主である。

 もっともこのニュースでは、謎が2つほど残っている。1つは、五島列島沖で遭難した漁船がなぜ日本の東海上に流されたのかということ。海流に乗るならば、日本海北部に達するはずだと思うのだが、どういうルートを辿ったのだろうか。

 もう1つ、エンジン故障の連絡を受けたあと、なぜ十分な捜索が行われなかったのだろうか。ご当人が「あまり騒がれると恥ずかしくて地元に帰れないよ」と話していることから、ひょっとして、騒がれまいとして救助の要請をしないうちに連絡がとれなくなったという可能性もある。

 それにしても日本列島の周辺でこのように長期間の漂流を余儀なくされるとは驚きである。
【思ったこと】
_10827(月)[心理]行動分析学会年次大会(2)

 北九州市で行われた行動分析学会年次大会の参加報告の続き。記憶の新しい順ということで、今回は2日目の口頭発表の内容について、3件ほど感想を述べたいと思う。

2日目午前中の口頭発表

 最初は、“学校現場で発達障害児のリテラシー獲得を支援する:「等価関係」成立のためのコンピューター支援指導”(山本淳一氏ほか)という長いタイトルの発表だった。タイトルにも含まれている「等価関係」は重要な視点ではあると思うが、漢字のように複数の読みが存在し、文字よりも熟語として意味をなす性質のものについては、固定的な一対一対応関係を作らないほうがよいという気もした。また、これは私自身がかつて『行動分析学研究』掲載論文のなかでも指摘したことでもあるが、発達障害児の場合、漢字熟語と事物との対応は比較的学習しやすいが、書き取りは苦手というケースも多く見られる。「読み書き万能」よりも、学習可能なスキルを最大限に伸ばしたほうが良いと思うのだが、現場ではどう考えられているのだろうか。
 このほか、コンピュータを用いることによる、機械的な対応関係だけの学習に終わってしまう恐れもあるのではないかと思う。日常生活で直接接することのできる事物を中心に、自ら操作することと言葉で表現することを関連づけて学習させていったほうが効果があるようにも思った。

 4番目の“セキセイインコの反応変動性の分化強化”(真邉一近・河嶋孝氏)は、私自身がかつて発達障害児やサルを相手に実施した「行動可変性response variability」の実験と密接に関連しており、興味深く拝聴した。実験では、パネルをつつく位置について、「直前と異なる位置をつついた時に強化される」という「1-back」の随伴性と、「直近2カ所のいずれとも異なる反応をした時に強化される」という「2-back」の随伴性のもとで、被験体がどのような反応パターンを形成するのかが検討された。
 最初から位置や数が固定されている反応キーと違い、この実験では、四角いパネルのどの部分も自由につつくことができる。にも関わらず、「1-back」では2カ所、「2-back」では3カ所(主として三角形型)に反応位置が収束してしまうという所が面白かった。動物は無駄な変化はしないということである。
 なお、表題の「反応変動性」という点に関しては、ここで形成された反応パターンが必ずしも変動性を高めたことになるかどうか疑問が残る。発表者ご自身も指摘しておられたように、反応のシークエンスは「1-back」(左右交代型)でも「2-back」(三角形の頂点をぐるぐる回る)でもきわめて固定的であり、variabilityの増大とは必ずしも言えない。反応リパートリーの増加、もしくは等頻度性の保障という変化はあったと思うが。

 最後の“行動分析は生活習慣改善に向けてどのように生かせるか”(小関唯未氏ほか)は、実践報告もしくは体験談に近い内容であった。フロアからは、発表の内容自体ではなく、一般的な生活習慣改善に関する発言がいくつか出された。その中で、ダイエットがある程度軌道に乗り体重が安定して維持されるようになると、「体重減少」という成果(=好子)の随伴が無くなってしまうことの問題が指摘された。それに対して、杉山尚子氏から、阻止の随伴性(「○○しないと、体重が増えてしまう」)による自己管理の重要性について貴重なコメントがあった。

 次回は、ジャネット・トゥワイマン先生の特別講演と、私自身が企画したシンポジウムについて感想を述べたい。