じぶん更新日記

1999年5月6日開設
Y.Hasegawa

[今日の写真] 昨日に引き続いて「落ちない」シリーズ。今年もまた、農学部農場の一角にある銀杏の中に、なかなか葉が落ちない銀杏が現れた。昨年と同じ木。品種なのか、土壌に特殊な物質が含まれているのかさっぱり分からない。受験生向きの銀杏でもある。

12月8日(水)

【思ったこと】
991208(水)[一般]一思考実験として、大統領と副知事議会と比例議会から成る国を考える

 衆院の比例区を20議席削減する法案をめぐっての審議や政党間の駆け引きが大詰めを迎えているという。定数削減自体は大いに結構だと思うが、比例区をそう簡単に減らしてよいものだろうか。小選挙区はそんなに素晴らしいものなのか、そういった根本問題を考えてみる必要があるように思う。

 小選挙区制の問題点を思いつくままにあげてみると、
  • まず、多様な価値観が議会に反映されないという問題がある。例えば、A型党、O型党、B型党、AB型党という4つの政党があり、血液型と同じく、4:3:2:1という比率で支持を集めていたとする。完全な比例代表制であれば、議席は4:3:2:1という比率になるが、どの地域も支持率に偏りがない状況で小選挙区選挙を行えばA型党が100%の議席を占めることも可能。多数派に実勢以上の権限を与えてしまうところに理念的な問題が出てくる。

  • 次に、人口の変動による格差が是正しにくいという問題がある。中選挙区制であれば選挙区の定数を5から4に減じるとか、3から4に増やすという形で柔軟に対応できるが、小選挙区の場合は、区割り自体を変更しなければならない。1票の重みを平等に保とうとすれば、境界地域の住民は区割りの変更のたびに全く別の選挙区に組み込まれてしまう恐れがある。かといって放置すれば、2倍、3倍といった格差が容易に生じるようになる。

  • 第3の、そしてむしろこのことのほうが国の将来にとって問題になりそうなのは、小選挙区というのは基本的に地域代表としての性格をもっており、国全体のことよりも選挙区内住民の利益だけを追求する議員が当選しやすくなる恐れがあることだ。
 では比例区オンリーにしてしまえばすべてよいのか。この場合は、小政党が乱立し、駆け引きばかりで一貫した政策が遂行できないという別の問題が出てくる。

 こうした問題を解消するためにはどうすればよいのだろう。現行の法制を一切無視して理想的なしくみを考えてみることも、1つの思考実験として意味があるように思う。
  • まず最初は、大統領制の実現。上に述べたように、小選挙区のように地域代表を選ぶタイプの選挙では、国の将来を考える政策は地元の利益優先の政策より後回しにされてしまう恐れがある。国全体についての政策論争は、国全体という1つの選挙区において行われるべきである。また、選挙で大統領を選ぶ以上、権限を大幅に強化し、特に行政に密着した具体的な政策は議会の承認を得なくても遂行できるようにする。これによって、政党間の駆け引きが長引くことによって経済対策が後手にまわるような中選挙区や比例区選挙の弊害を回避することができる。

  • 次に、小選挙区は全廃し、代わりに、各都道府県で国会担当専任の副知事を選出。これらの副知事が衆院に代わって地域代表議会を構成する。こうすれば人件費は大幅に削減。また都道府県議会が間接選挙によって代表を選出するため、議員への献金問題はすべて解消する。

  • 憲法改正、その他長期的な構想の検討は多様な価値観を尊重する必要があるので、比例区(無所属の個人の立候補も可)から選出。参院に代わって上院を構成する。内閣の過半数は上院議員から選ぶこととする。
 こんな仕組みにすれば国会運営も政策の遂行も今よりスムーズに進むように思うのだが、何か問題があるだろうか。

 いずれにせよ、今の衆院、参院という二院制度には無駄が多い。また特定地区の支持だけを受けて当選した議員の集合体だけに国全体の運営を委ねること自体には理念的に問題がある。さらに、多少の反対を押し切ってでも遂行しなければならない差し迫った対策と、個々人の価値観まで拘束する可能性のあるような長期的な教育政策が、同じ選出方法で選ばれた人たちによって決められていくことにも大いに問題がある。理念的な議論を抜きにして、安易に「定削は必要→小選挙区の定削は困難→減らしやすい比例区を削減」という決定にはしらないよう慎重な審議をお願いしたいところである。
【ちょっと思ったこと】
  • このところ日の出が遅く、朝起きた時はいつも真っ暗だ。12/8の朝はよく晴れており、東南の空高くに金星、その左下に水星がはっきりと見えた。この2つの星を同時に見たのは8/11のイラン皆既日食の最中以来のこと。

  • 批判メイルを受け取ったとか、他の日記を批評・批判する日記についてとりあげているWeb日記を複数見かけた。そういえば昨年の今頃も同じような議論があったのでは、と自分の過去日記を検索してみたところ、昨年の12月24日の日記で「少し前から、いくつかの日記で、ネット上で別の人のHPを批評したり批判したりすることについて、いろいろな意見が主張されるようになってきた。」と書いたことを思い出した(続編が、翌25日及び、27日の日記にあります)。こういうことが話題になるのはひょっとして季節的な影響があるのだろうか。寒くなって部屋に閉じこもる時間が増えたとか、日照時間が短くなるとホルモンの分泌が変わって他人を批判したがるようになるとか....。歴史は繰り返すというが、日記猿人界にも周期的に盛り上がる話題が複数あることは確かだ。
【本日の畑仕事】
大根を収穫。キャベツの苗植え付け。
【スクラップブック】