じぶん更新日記

1999年5月6日開設
Y.Hasegawa

[今日の写真] 時計台前の紅葉終盤。佐伯祐三の作品に似た色彩?

11月25日(木)

【思ったこと】
991125(木)[心理]「行動随伴性に基づく人間理解」その後(9):農業がもたらす生きがい

 昨日の日記の続き。今回はまず、卒論生が農業従事者に実際にインタビューした結果についてご紹介したいと思う。なおネット上で公開することについては事前の了承をもらっております。

 さて、昨日の日記では、なりたい職業に農業が選ばれにくい理由として「阻止の随伴性」による義務的な行動が含まれている可能性を指摘した。このことに関連して、調査対象者のCさん、Eさん、Gさんから次のような発言があった(長谷川のほうで発言内容をまとめ直してある)。
  • Cさん:米作りでは刈り取りが一番。刈り取りが終われば田んぼの仕事は終わりになるから。田植えの場合は、そのあとに次々と稲の世話(中間管理)があり気が重くなる。これらは時期が大切なので時間に拘束された仕事にならざるをえない。一方、刈り取りの後に行う藁上げやたんぼをうねる仕事は、時間の制約が無い。
    【田植えに引き続く「中間管理」行動が好子消失阻止の随伴性(作物が病虫害によって消失するのを阻止する)によって義務的に生じていることを示している。】
  • Eさん:毎日稲の姿を見るのが好き。バイクで見回る
    【これは稲の成長の各段階が日々の「中間管理」行動への好子として直接的に随伴している可能性を示している。】
 米作り以外の農作業については
  • Eさん:ネギ作りで、良いものを作るには薬かけなどをやっている。
    【病虫害の発生を防ぐための薬かけは好子消失阻止の随伴性に基づくものと考えられる。ただし、現実の農作業において、「作物を肥培するための作業」と「病虫害を防ぐための作業」が異なる随伴性(前者は好子出現、後者は好子消失阻止)によって独立的に強化されているかどうかは疑問が残るところだ。たとえば肥料を与えるのは「肥料を与える→作物が太る」という好子出現の随伴性のようにも見えるが、「肥料をやらなければ売れる作物にならない」というかたちで維持強化されるのであれば好子消失阻止の随伴性ということになる。このあたりより詳細な聞き取りが必要であろう。】
  • Gさん:(酪農での)牛は毎日お金になる。天候に左右されないし、がんばった分だけ結果が出る。米はバクチ的な面がある。
    【昨日の日記で指摘したように、農作業一般が「働けば働くほど結果が増える」という比率スケジュールになっていないことを証言したものと言えよう。】


 このようなかたちで農業従事者のナマの声を伺ってみると、単に「農作業→収穫」というような漠然とした「好子出現の随伴性」ではなく、個々の段階の作業がどういう随伴性あるいは強化スケジュールによって強化されているのかが詳細に分析できるようになる。なお、上に書いた部分で、病虫害の防止は「好子消失阻止の随伴性」であると書いたが、厳密に言えば、好子となるべき収穫は将来において出現することが期待されるべきものである。となると、
  • 農作業全体は、将来の好子出現によって強化されるルール支配行動
  • 病虫害や災害は、その好子出現を阻止するもの
  • 病虫害や災害を防ぐための行動は、その「好子出現阻止」を阻止する随伴性ということになる。
「出現阻止の阻止」が「出現」と同じはたらきをするかどうかについてはさらに考察が必要だ。

 話題が変わるけれど、11/14の日記で痴呆の問題をとりあげてみたが、農村地域と大都市地域での痴呆の発生比率はどうなっているのだろうか。かつては大都市のお年寄りも、庭の一部を家庭菜園にして農作業を楽しむ場が与えられていた。

 東京・世田谷の自宅に戻った時にいつも感じることだが、昔は広い庭のあった所に敷地いっぱいに2〜3階建てのコーポが建てられ、持ち主のお年寄りがその一室で管理人を兼ねてひっそり暮らしているという御近所さんを複数見かける。確かに老後の収入は確保されているのであろうが、結果的に土とふれあう機会が奪われてしまった。毎日テレビばかり見るだけの老後(←これは単なる推測)が果たして楽しいものと言えるのかどうか、そういう自然から隔離された閉鎖的な環境での生活が痴呆のきっかけになっていないかどうか、確かめてみる必要もありそうだ。
【新しく知ったこと】
  •  日本自動車連盟発行の「JAF-MATE」12月号が配達された。その中の「今月のテーマ:電気関係の高電圧化」によれば、現在の乗用車の電圧12Vを40V前後に高電圧化しようという動きがあるという。高電圧化になれば、今後の電気利用倍増のニーズに応えられるほか、アイドリングストップが快適になる、エンジンを止めてもエアコンが(電気で)使えるようになる、電線が細くて済むので軽量化に役立つ、などのメリットがあるという。いっぽう、電球などは今の12Vに比べて寿命が短くなるというデメリットもあるらしい。

     そういえば、乗用車で使われる電圧って何で12Vしかないのだろうと、前々から疑問に思っていた。上記のJAF-MATEによれば、いまの12Vになったのは約40年前。それまでは6Vであったという。いっそのこと100Vにしてしまえば家電が何でもつかえるて便利のようにも思えるが、あっ、大概の家電製品は交流だったっけ。

     余談だが上記の雑誌の別のページに、「ジャンピングケーブル、正しい接続法は?」というのがあった。それぞれのプラス端子どうし、マイナス端子どうしを繋ぐものだとばかり思っていたが、故障車につなぐマイナス側ケーブルは、マイナス端子ではなくて、バッテリーから離れたエンジンの金属部に繋ぐのだという。そんなこと知らなかったなあ。というか、自分の車のバッテリーあがりはこれまで2回経験しているが、いずれも人に頼んだため恥ずかしながら一度も接続の体験をしたことが無かったのだ。
【本日の畑仕事】
チンゲンサイ、小松菜、大根、人参を収穫。
【スクラップブック】