じぶん更新日記

1999年5月6日開設
Y.Hasegawa

[今日の写真] ラベンダーとモミジ。ラベンダーのほうは四季咲きだが、モミジとの取り合わせはこの時期しか見られない。

11月24日(水)

【思ったこと】
991124(水)[心理]「行動随伴性に基づく人間理解」その後(8):なりたい職業に農業が選ばれにくい理由

 11/23夜の「たけしの万物創世記」は大工さんの話題。タイトルが「大工!!子供のなりたい職業No.1」となっていることからも分かるように、特に男の子にとって大工さんはやりがいのある職業として知られている。仕事のそれぞれの段階が完成という結果にダイレクトに随伴すること、完成された家が末永く活用されることが大きな喜びとなるためであろう。

 その一方、いまの世の中で「農業をやりたい」という子供はそれほど多くない。ほんらい、収穫の喜びは何物にも代え難い行動内在的な喜びになるはずなのだが、どうしてなのだろう。

 趣味で農作物を作る限りにおいては、農作業は確かに楽しいものだ。私自身もわずかの畑を借りて、いくつかの野菜を作っている。失敗してもともと、という気楽な気持ちで家庭菜園を維持する程度のことであれば、農作業は確実に生きがいになるはずだと思う。

 にも関わらず、営農、特に専業農家が次第に減少し、農業従事者の高齢化や後継者不足、都市近郊農地の宅地化が進んでいくのは何故なのだろうか。この原因は多種多様であり、私のような素人が口をだすべき問題ではないのかもしれないが、連載の一環として行動随伴性の視点から捉えられる範囲に限って考えを述べてみたいと思う。

 農業が生きがいになりにくい理由を思いつくままにあげてみると、
  1. 大工さんの仕事に比べると、阻止の随伴性で維持される行動が非常に多いこと。具体的には、病虫害、干害、水害などの対策だ。これらはすべて、「何もしなければ好子が消失する(恐れがある)が、(防虫、防災対策等の)行動をすればその消失が阻止される」という阻止の随伴性に基づくものであるため、義務的な行動になってしまう。

  2. 好子出現の随伴性が、「働けば働くほど結果が増える」という比率スケジュールになっていないこと。具体的には、豊作貧乏と言われるように、せっかくたくさん収穫できても市場価格が暴落すると逆に赤字を出してしまうこと。

  3. 市場原理によって、本当に作りたい作物ではなく、売れる作物を作らされている可能性。

  4. 機械化によって、鍬で土を耕すという土との直接的なふれあいが失われてきたこと。また、大型の機械を購入することによって生じた借金の返済に追われ、働くこと全体が好子消失阻止(=担保をとられないための義務的行動)の随伴性だけによって維持されるようになってしまうこと。


などが考えられる。次回は、卒論生が農業従事者に行ったインタビューの内容に即してもう少し具体的に分析を加えてみたいと思う。
【ちょっと思ったこと】
  •  車を運転する時にはたいがいラジオを聞くことにしているが、なかなかタメになる番組が多い。今週はたまたま夕刻17時半〜18時頃に2回ほどNHK第一放送を聞く機会があった。テーマは「友情」。月曜日は法政大の「なかの おさむ」先生(←ラジオのため漢字表記は不明)が出演され、ご自身の団塊の世代の頃の友情と現代の若者のあいだの友情とを比較しておられた。
    • 昔のほうが相手の傷つくことを平気で言い合う分仲良くなれるが、いまの若者はひたすら孤立を恐れ、「そんなこと言ったら仲間はずれにされる」と考えて相手を批判しない。
    • リーダーに選ばれても仲間の怠慢を叱りつけたりしない。要するに、周囲に気をつかうようになった反面、壊れやすい関係になっている。
    • 昔は友達仲間が呼び出せばかなり遠くからでも出てきたのに、今はケイタイで呼び出しても出てこない。
    • 「Eメイルなどのネット上の交流は真の友人関係の形成を妨げる」という、視聴者からの投書あり。
    いずれも運転中に聞き取っただけの内容なのであるいは聞き間違いや取り違えがあるかもしれない。念のため。

     ラジオを聞いた限りでは納得できる部分もあったが、「昔は....」というようなオヤヂ論で現代の多様な友人関係をひとくくりに論じることができるかどうか、ちょっと疑問を感じた。

     昨日の日記で、夫の妻に対する暴力の話題をちょっとだけ取り上げたが、暴力をふるう男性というのは果たして同性の親友が別にいるのだろうか。ひょっとして、人間関係のほうでも省エネや簡素化が進んだ結果、妻を妻としてではなく「妻、親友、母親」の三位一体の存在としてとらえ、理想としての三位一体像と現実の生身の妻とのギャップが暴行を生み出しているようにも思える。いやどっちにしても、決して暴力を肯定するものでは無いのだが...。
【本日の畑仕事】
雨のため立ち寄れず。夜、レタスを収穫。
【スクラップブック】