じぶん更新日記1999年5月6日開設Y.Hasegawa |
岡大南北通りの銀杏並木。岡山オフミから一週間しか経っていないのに、もう落葉が始まった。季節の流れは速いものだ。 |
【思ったこと】 991113(土)[心理]「行動随伴性に基づく人間理解」その後(3):「Web日記」に目標などあるもんか/行動は目標の手段ではないという生きがい論 昨日の続き。昨日は、「web日記を書くと楽しい」という抽象的な「行動→結果」が、随伴性のレベルでもっと細かく分類できるものであり、どの随伴性によって維持・強化されているかに注意を向けていく必要があることを指摘した。 さて、昨日は、「そもそも何を目標としてweb日記を書くのか」について一切ふれていなかった。それもそのはず。じつは私自身は、日記執筆はもとより、人生観全般において、「目標」というものをあまり重視しない立場を貫いている。 生きがい論を説く人の中には「生きがい」を「the real aim」というように英訳している人さえいる[例えば飯田史彦氏]。他にも、何事につけても目標をしっかり立てて行動することを重要視する人がたくさんいるようだ。しかし、スキナー流の「生きがいとは、好子(コウシ)を手にしていることではなく、それが結果としてもたらされたがゆえに行動すること」であるという行動論的人生観から見るならば、目標というのはいわば補助手段。より「良質」な好子を形成するための香辛料のようなものにすぎない。要するに 生きがいの本質は、目的の崇高さにあるのでも、手にしてしまった好子自体の価値にあるのでもない。あくまで、行動すること、その行動に好子が適切に随伴しているところに本質がある。というのが私の考え。 もちろん集団で何かをやり遂げるためには具体的な目標の設定と実現可能な方策を明示することが大切。応用行動分析でも、抽象的なスローガンに代えて具体的目標を設定することがむしろ強調されている。しかし、そういう意味の目標というのは、かならずしも究極的なものである必要はない。むしろ、ニーズ(要請)というものが根底にあって、そのニーズを満たすべく具体的に設定された「目当て」のようなものと言えよう。 いっぱんに「目標」というものが重宝がられるのは、結果として随伴する好子に対する飽和化を起こりにくくする効果があるためだ。芥川の小説ではないが、「芋粥」が結果としてもたらされるがゆえに行動する人は、芋粥をたらふく食べた段階(=飽和化)でもはや強化されるべき行動が無くなってしまう。スポーツ選手がよりハイレベルの大会の入賞や自己記録の更新を「目標」とするのは、すでに達成されてしまった優勝に満足しきると、その後の一所懸命練習する行動に対して伴うべき有効な好子が見出せなくなってしまうからに他ならない。 少々大げさな議論になるが、私は、それが達成された時に「これですべてよし。これぞ生きがいの醍醐味だ!」と感じられるような目標やら好子やらは、決して存在しえないと考えている。このことは裏を返せば、いまの私たちの行動を強化している諸々の好子自体をとりあげて、その意味や価値を問いただしたところで無駄。せっかくの好子の価値を低下させ無意味化してしまうのがオチ、ということを主張するものである。 もとの話題に戻るが、Web日記を執筆するという行動に随伴する(であろう)アクセスカウンタの増加、空メイルボタン押し受信、日記猿人の投票などというものは、好子自体を云々する限りにおいては、お子さま銀行券とか(我々の世代が昔よく集めた)牛乳瓶のフタと何ら変わらないものである。しかし、上記の議論をふまえるならば、だからそんなものはつまらないという結論は出てこない。大切なことは、アクセス数とか得票とかが好子になるとした上で、「それによって、あなた自身のどういう執筆行動が強化されているか」ということだ。執筆行動が日常生活全般のバランスの中で適切な潤滑油として機能している限りは、好子の質などどうでもよい。いわんや日記執筆の目標などどうでもよいというのが私の考え。 以上を要約すると次のようになる。「目標という行動」という枠組みで行動をとらえる限りは、行動はあくまで手段であり、煩わしいものの1つにすぎない。これに対して、行動論的生きがい論は、「行動すること自体」を生きがいの本質であると考える。「目標」とか「行動によって達成される結果」はむしろ「従」。もちろん、「行動」が外界への働きかけとして定義される以上、結果から独立した行動というものはあり得ないが、結果さえ手にしてしまえば手段はどうでもよいとか、手にした結果に価値がないから行動自体も無意味であるという議論は成り立たないことを特に強調しておきたい。次回に続く。 |
【ちょっと思ったこと】
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【本日の畑仕事】
ミニトマト、人参、小松菜収穫。二十日大根の種まき。タマネギの苗を植え付け。 |
【スクラップブック】
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