じぶん更新日記

1999年5月6日開設
Y.Hasegawa
[今日の写真]

11月9日(月)

【思ったこと】
991109(月)[心理]泥沼の上にビルを建てることと「血液型性格判断」(後編)

 昨日の日記の続き。本日は「血液型性格判断」を泥沼の上にレストハウスを建てることに例えてみたいと思う。初めにお断りしておくが、例え話というのは何ら論証にはならない。あくまで私がこれまで主張してきた内容を分かりやすくイメージしてしまうための補助手段のようなものとして受け止めていただきたいと思う。

 ここではまず、何らかの体系的知識を展開することを、ビルを建てることに例える。地震や風水害に耐えうるビルを建てるためには、しっかりした基礎工事が必要である。もちろん骨組みの構造もちゃんと設計されていなければならない。

 戦前の古川竹二、戦後の能見正比古・俊賢父子、その他もろもろの自称「心理学研究家」たちの血液型性格判断(正しくは「血液型・気質相関説」)に異論や否定論が出たのは、彼らの建てたビルに欠陥があることに気づいたためである。基礎工事にあたる「性格」や「気質」についての厳密な定義、実際の建築に必要なデータに問題があることが批判された。

 例えば「血液型によって性格が異なる」と主張するためには、性格とか気質についての厳密な定義、そしてある人と別の人とを区別するための客観的な分類基準が無ければならない。単なる印象や思いこみで当たっているとか外れていると言うだけでは再現可能性も反証可能性もない。これでは科学を標榜することはできないのだ。

 「血液型性格判断」のレストハウスが建てられる沼地というのはおそらく風光明媚な土地にあるのだろう。「血液型」を話題にした本や週刊誌がよく売れ、TVの視聴率が上がるのはそのせいである。ネット上の各種診断サイトなども同じだが、そういうものがもてはやされるのは診断の正確さゆえではない。遊びとして、コミュニケーションの手段として有用であるがゆえ。すぐに老朽化してしまうような安普請のレストハウスでも眺めさえよければそれなりに客が集まる。

 レストハウスの基礎工事や構造上の欠陥を指摘していることに対して、心理学者たちの実名を挙げて攻撃してくる人達がいる。こういう人達のロジックというのは、「欠陥を指摘する方法には不備があるので受け入れられない」というレベルでの「否定の否定」だ。

 もちろん、心理学者たちの中にも問題がなかったわけではない。何度か指摘しているように、初めから「血液型と性格は一切関係がありません」という形で頭ごなしに否定するのは科学的態度とは言えない。実際に建っているレストハウスに目を向けずに「こんな沼地にはレストハウスなど建てられるはずがない」という形で頭ごなしに否定しているのと同じことだ。ただ、「否定の否定」論者がいくら頑張って血液型性格判断否定論を否定してみたところで「この沼地にもビルが建てられる」という証明にはならない。そういうヒマがあったら、自分でちゃんとしたビルを建ててみろ、というのが私の主張だ。

 ということで、血液型性格判断資料集は、今後とも開店休業状態を続けざるを得ない。私に対するあまりにも理不尽な個人攻撃が伝えられれば何らかの対処をすることもありうるけれど、基本的には「否定の否定」論者の相手などしているヒマはない。「否定の否定」論者さんたちもいずれそういうことにエネルギーを費やし一生を終えることに空しさを感じるようになるだろう。はやく立派な建物を建ててくれまへんかな。そのうえでご招待いただきたいものである。
【新しく知ったこと】
【本日の畑仕事】
多忙につき一度も立ち寄れず。
【スクラップブック】