じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] ヤブガラシ。タチの悪い雑草だが花は美しい。後ろの山は半田山。


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7月19日(月)

【思ったこと】
990719(月)[心理]ルール支配行動から生きがいを考える(6)楽しみを増やす方法(その1)

 昨日の日記の続き。今日は、行動することを楽しく感じるのはどういう時か、どうすればより楽しく感じるのかについて考えを述べてみたい。まずはいつもの通り『新明解国語辞典 第五版』で辞書的な意味を確認しよう。
楽しい:その状態を積極的に受け入れる気持ちが強く、出来ることなら それを持続したい感じだ。
 この定義は行動分析学でいうところの好子(コウシ、「正の強化子」と同義)出現の随伴性と非常に似通ったところがある。好子出現の随伴性によって行動が維持・強化されているということは、すなわち、好子が出現する状態を積極的に受け入れその状態を維持すべく行動しているということを意味する。

 しかし、「行動し好子が出現する状態」が常に楽しいとは限らない。
  1. どういう種類の好子を出現させるのか(→生得性好子、習得性好子)
  2. どういう形で出現させるのか(→部分強化、強化スケジュール)
を工夫する必要がある。この話題は実は2月12日の日記で「価値の起源と創出」に関係してとりあげたことがなる。一部繰り返しになるが、今回のテーマに関連づけてもう一度論じてみることにしたい。

 まず1番目の好子の種類の話題だが、好子は
  • 生得性好子:経験を必要とせず無条件に好子として機能する刺激、出来事、条件。
  • 習得性好子:もともとは中性的で生理的にも特段の作用を及ぼさないが、何らかの経験(=条件づけ)を経て好子として機能するようになった刺激や出来事や条件。
の2種類に区別される。

 このうち生得性好子は、本来は、動物の個体の維持や繁殖に必要な事象(食物、水、適温、空気、性的興奮)と密接に対応するものである。というより、生物の個体の維持や繁殖に必要な事象が生得性好子にならないような動物は仮に突然変異で地球上に存在しても、適応的に行動できないので瞬間的に滅び去ってしまうだろう。例えば、食物が好子にならない動物は直ちに飢え死にするし、性的興奮が好子にならない動物は子孫を増やせないので一代限りで消滅してしまう。

 では人間が生得性好子を得るように行動することは無条件に楽しいことになるのか。それも否である。

 1つは、人間にとっての生得性好子は、あくまで原始人向けに形成されたものであるということ。例えば食料が十分に確保できない大昔にあっては、糖分や脂質は生き延びるための重要なエネルギー源であった。その後文明が進歩して物余りの時代が到来したが、生物的なレベルでの人間は大昔と殆ど変わっていない。それゆえ、好きな物を好きなだけ食べていると太りすぎや成人病を招く恐れが出てくる。その意味では、文明の進歩は、人間が生得性好子によって強化される楽しみに制限を与えるようになったと言ってもよいだろう。

 もう1つは、生得性好子というのは繰り返し与えられると飽和化が生じやすいということだ。飽和化というのは文字通り「それに飽きる」ということ。食べ物でも性的興奮でもそうだが、それが繰り返し出現したり長時間持続したりすると次第に好子としての機能が失われていくようになる。

 実は飽和化も個体の維持や繁殖に重要な役割を果たしている。もし、1つの生得性好子が常に他の好子よりも強い強化力を持ち続けていたとすると、その個体は、永遠に同じ行動ばかりを繰り返すことになってしまう。食物が最優位の好子である動物が出現したとしても、食べることばかりに専念して子孫を増やそうとしないので絶滅。交尾することが最優位である動物は食べることを忘れて飢え死にしてしまうだろう。個体の維持と繁殖のバランスを保つように、飽和化と(その反対概念である)遮断化によって生得性好子の強化力が相対的に変化するしくみを備えた動物だけが結果的に地球上に生き残ったと言ってもよいかと思う。

 飽和化が起こりやすいということは、生得性好子だけが獲得されるような生き方は刹那的であって永続性のある楽しみが得られないということの証明にもなる。いくら美味しい物でも毎日食べていれば飽きてしまうし、セックスばかりしていても空しくなっていくばかり。

 そこで、ただ無制限に生得性好子を出現させるのではなく、どういう形で好子を出現させれば楽しみが得られるのかを工夫する必要が出てくる。時間が無くなったので明日以降に続く。
【ちょっと思ったこと】
  •  小中学校は20日から夏休みに入った。夏休みと言えば、こども会主催の朝のラジオ体操。妻に聞いてみたら、今年は8月下旬だけになったのだという。

     ラジオ体操はそれ自体は家の中でもできるし、あの程度の運動量が体力増進につながるとも思えないが、毎朝決まった時刻に起きて特定の場所に集合することは夏休み中の規則正しい生活を習慣づける上で大きな意義があると思う。もっとも夏休みの40日間ぶっ続けで実施することになれば、当番にあたった大人にも負担がかかるし、アパートの目の前の広場で毎朝実施していたのでは安眠妨害だとの苦情も出る恐れがある。なかなか難しいところだ。

     7/20はとりあえず娘と二人で家の中で体操をした。この番組ではまず「ラジオ体操の歌」が流れる。国歌の法制化をめぐっては「『上を向いて歩こう』こそが日本が世界に誇る最高のメロディだ」とか、「オノ・ヨーコ氏が著作権をもつ『イマジン』を国歌にしよう」(菅原将人氏、7/20朝日新聞文化欄)などという声もあるが、元気のよさだけで選ぶならこの「ラジオ体操の歌」なんかがピッタリかと思う。もっとも、子どもたちが毎朝ラジオ体操会場に出向いて国歌「ラジオ体操の歌」を歌うなんていうことになるとちょっと国家主義的な色彩が強すぎるかもしれない。余談だがラジオ体操は、郵政省簡易保険局が健康づくりの一環として制定したもの。文部省とか厚生省の制定でないところが庶民的・自主的な活動であるとの印象を与えているように思う。

     ラジオ体操の最中にNHK教育のテレビ体操のほうのスイッチもつけてみたが、こちらでは3人のインストラクター(というのか?)のうち左端の女性が椅子に座ったままお手本を示していた。おそらく車椅子利用者でも体操に参加できるように配慮したものと思うが、いつ頃から導入されたのだろうか。
【生活記録】
[Image]  アパート下の花壇で黒いイモムシを見つけた。図鑑で調べたところツマグロヒョウモンの幼虫らしい。ツマグロヒョウモンについては昨年の日記で何度かとりあげたことがある。こちらが本格的な交尾の写真。パンジーやスミレ類を食べているため公園の花壇では食料に事欠かない。モンシロ、アゲハなどと同じぐらいよく見かけるようになったのはそのせいだろう。
【今日の畑仕事】
  • トマト4個、トウモロコシ4本、ピーマン2個、オクラ、ミニトマトを収穫。夜、白くて大きな夕顔の花を見る。
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。)】