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8月13日(木)神郷町→大山

【思ったこと】
980813(木)[旅行]足立美術館の借景式庭園のからくり/横山大観・北大路魯山人の作品
[Image]  足立美術館の枯山水庭園は、多くの入館者がその美しさと壮大な規模に驚嘆の声をあげていた。大学・大学院時代には特別公開などを含めて京都のたいがいの庭園を訪れたことがあるけれど、これほどの規模のものは記憶にない。この日は島根県全域に大雨洪水警報が出されるなどあいにくの悪天候であったが、背後の山からは霧が立ち上り、めったに見られない神秘的な光景を作り出していた。
 この庭園についてちょっと思ったことは次の通り [Image]
  • この庭園のいちばんの魅力は背後の山を借景に取り入れたことだろう。あとで周辺を探索して分かったことだが、手前の庭園と後ろの山とのあいだには県道45号線が通っている。ごく稀に(私が目撃したのは一度だけ)、背の高いトラックの上部が通過するのが見えたけれど、事前の知識なしに庭を眺める限りにおいては、背後の山と庭園は一体となっており、こんなに広い庭が日本にもあったとは、と思わず驚嘆してしまう。その極めつけは開園8?周年を記念して新たに作られたという「滝」であろう。園を出たあとに分かったことだが、この滝は、県道45号線の反対側の崖に人工的に作られたものだが、あたかも滝壺に流れ落ちる清流が園内に流れ込んでいるような錯覚を起こす。
  • 枯山水庭園というと禅寺の方丈前の庭をすぐ思い起こすところであるが、宗教から独立した純粋な美術品として作られた庭園であるという点でこの庭には別の趣がある。
  • 借景式の庭園として思い浮かぶのは、京都北山を借景にした修学院離宮や京都府立植物園、比叡山を借景にした園通寺や正伝寺など。比叡山の場合、山頂展望台が景観を悪くしていることは否めない。そう言えば岡大構内の花壇などもアングルによっては半田山を借景に取り込んだ景色を楽しむことができる。
  • 庭がよく見える喫茶室が館内にいくつかあった。喫茶室も展望室も殆どがガラス越しに庭を眺める趣向となっている。絵画と同じ扱いという意図があるのかもしれないが、鳥や虫の声が聞こえないのは残念。このあたりが禅寺と違う発想なのだろうか。もっとも、上にも述べたように、庭園と背景の山の間には県道が走っておりけっこう交通量が多い。車の騒音を防ぐためにガラス張りにしてしまったという可能性もある。

 美術館の展示品のなかでは横山大観の「南冥の夜」という作品に特に惹かれた。これは創立者の足立全康氏御自身が「名画中の名画」と称える作品でもあるようだ。私は昔から美術史関係について全く知識が無く、横山大観についても殆ど何も知らない。説明を見た限りでは、戦争中には戦争政策に協力し、「神国日本」といった作品の売り上げで「大観号」という戦闘機を二機寄贈したということだ。(ちなみにこの「神国日本」に描かれていた太陽は赤い円形の紙を貼り付けたものであった。なぜ絵の具で描かなかったのかは不明)。「南冥の夜」もそういった戦争画の1つということだが、予備知識を持たずに眺める限りにおいては、戦争の残虐さ、空しさといったものが印象づけられる作品である。
 このほか、別のコーナーにあった川上四郎氏の「裏の畑」という作品もよかった。人気が高いらしく、複製画は売り切れになっていた。
 陶芸コーナーのほうでは、魯山人の言葉の中に面白いものがあった。「自分はたいがい嫌われているが、これは人を褒めないからだ」などなど。
【ちょっと思ったこと】
  • 夕食は皆生温泉近くの「天下一品ラーメン」に。7月に米子店としてオープンしたばかりの店であるが、平日の17時台から入り口で並ぶ人が出ていた。「天下一品」は大学院の頃、京都の北白川の店によく食べにいったものだ。ドロドロのスタミナスープと「ニンニクを入れるかどうか」と希望を聞くのが特徴であった。店のスタイルは違っていても、この2点は20年前と変わっていなかった。
【新しく知ったこと】
  • 神郷町から鳥取、島根近辺は梅雨前線の影響で24〜25度前後と涼しかった。
  • 「夢ランドしらさぎ」は、いちおう鷺ノ湯温泉エリアにあるということだったが、露天風呂の外側の機械室のようなところからボイラーと思われる音が聞こえていた。
【生活記録】
    家族は5時すぎに起きて、朝霧に包まれたテニスのまねごと。天気予報では大雨の予報も出ていたが何とかもちこたえた。
  • 本日は神郷町から大山への移動日。各自の希望を出してもらった。
    • (妻)足立美術館、水木しげるロード
    • (息子)美術館・博物館以外のところ
    • (娘)本屋かマンガ屋
    • (私)温泉
    ということで、けっきょく、足立美術館とその近くの「夢ランドしらさぎ」、帰りがけに米子市内の本屋に寄ることになった。
  • 10時頃、コテージを出発。日南町、180号線、山陰道(米子〜安来)経由で、足立美術館へ
  • 美術館近くの蕎麦屋で昼食、その後約3時間かけて美術館内を散策。大人2200円、小中生400円だが、JAF会員で1割引。館内の喫茶「翠」で休憩。ケーキセット1000円、アイスクリーム700円、税プラスで4人で3850円。
  • 美術館を出てから近くの「夢ランドしらさぎ」へ。大人800円、子供400円はまあまあの料金だが、とにかく人が多かった。
  • 米子皆生温泉近くの「天下一品」でラーメン。翌朝の食べ物を買って、宿泊地の大山・山の家に20時すぎに到着。
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。【 】部分は簡単なコメント。)】