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8月5日(水)

【思ったこと】
980805(水)[教育]大学選びのヒント(その3)「行動科学科」について
 7/29の日記に書いたように、明日8/6は文学部の公開説明会がある。ローテーションにより前期の行動科学科幹事をつとめている私は、何百人かの受験生の前で学科の説明をしなければならない。自分の専門について説明するのだったらメモ無しで1時間でも2時間でもしゃべるけれど、学科全体の説明となると非常に難しい。そこで、泥縄ながら明日しゃべる内容をいろいろと考えてみた。
ここでちょっと脱線するが、「行動科学科」は、教養部廃止・文学部改組・環境理工学部新設という3点セットの改革の中で、それまで哲学科に属していた心理学講座・社会心理学講座(大講座としての「心理学講座」に)と史学科に属していた地理学講座(「地理情報学講座」に(、旧教養部の社会学担当教官を主体として新たに設置された社会学・文化人類学講座の3講座がいっしょになって出来上がった新しい学科であり、来年3月に最初の卒業生を送り出すという新しい学科である。国立大学で新しい学科を作る場合、形式的には教授会で自主的に決定したものを大学として概算要求し、国会で承認されて実現するわけだが、じっさいは正式の要求書を出す前に、文部省と学部長のあいだでやりとりがあり、文部省係官の「示唆」を受けて決められていくものだ。つまり、文部省のほうから「こういう学科を作りなさい」と命令することは決してないが、「こういう名称にしないと今年度の実現は難しいですよ」といった「示唆」(=実質的指導)をくみ取って要求を出さざるを得ないというところがあるのだ。
「行動科学科」についても、当初は、ほかに「行動環境学科」とか「行動情報学科」などという名称が発案されたことがあった。内容は変わらなくても、その時代に要請を反映して、「環境」とか「情報」とか「福祉」などという言葉を入れると要求が通りやすいという「噂らしきもの」がまかりとおっていたためである。しかし「環境」という言葉は、「環境理工学部」とカブってしまうのでボツ。「情報」も同じく新学部に類似の名称があるという理由でボツとなり、結果的に最もシンプルな名称に落ち着いた経緯がある。

 ま、そういう過去の概算要求の話をしても受験生は何の興味も持てない。「行動科学科」という名称でできあがってしまったものはそれだけで独り歩きするものである。ということで「困った時はgoo頼み」ということでgooで「行動科学」を検索してみたが、なんとヒットしたサイト数は2002にものぼった。このうち、リストの最初のほうにあった「med.tohoku.ac.jp」のページをいろいろ拝見してみると、
「行動科学」という言葉は、1946年頃、J.G.ミラーを中心とするシカゴ大学のグループが「行動の一般理論」を生物化学と社会科学の両見地から展開するために、両者にまたがった新しい種類の科学の名称として用い始めたのが最初である。
と記されていた。これは大いにネタになる。その少し前のところに、方法上の特徴という記述がある。
その方法論上の特徴としては、.[略]...、統計学などの数学的方法とともに、実験、調査、測定に裏付けられた実証科学的方法を用いることがあげられる。そして、現実の中に飛び込んでデータを集め、問題の所在を探り、それへの具体的解決策を考えるというきわめて実践的な科学であるという側面も有している。
 これもそのまま引用できそうだ。もっとも、文学部案内にも同じ様なことが書かれてあったなあ。こういう感じでしゃべれば良いのだが、これでは冊子の棒読みになってしまう。何かホットな話題は無いだろうか。受験生が会場に来るまでにいちばん強く感じたことは何だろうか....そうだ!誰でも例外なく「暑い」と感じたに違いない...よし、今回は「夏の暑さ」ということをお題にして話を組み立ててみることにしよう。
 ということで今からメモ作り。明日以降に続く。
【ちょっと思ったこと】
  • 岡山の京山ロープウェイ遊園が9月に閉鎖されることは以前にもこの日記に書いたが、妻の実家からの情報によると、北九州市の「いとうづ遊園・動物園」も近く閉園されるとのことだ。北九州にはスペースワールドなど派手な遊具があり、ありきたりの動物と観覧車程度の遊具しかない所が閉鎖されるとしても驚くにはあたらない。しかし動物とのふれあいの場を無くしてはいけない。響灘のグリーンパークに動物園だけ移転させるなどというのは無理だろうか。
  • 8/6朝のNHKニュース(朝5時台)によると、愛知県の静岡県浜松市の聖隷三方原病院では、患者が主治医に気兼ねせずに別の病院の医師に相談を求める「セカンド・オピニオン」に前向きに取り組み、検査結果などを他病院に提供しているそうだ。たいへん結構なことだと思う。もちろん、これまでも、最初にかかった医者が信頼できない場合に転院するということは日常的に行われてきたと思うが、これでは、過去の検査データがその病院の中でしか活かせず治療の経緯も患者の口からしか伝わらないため、再検査などによって健康保険料が国レベルで多大な無駄づかいになってしまう。医療が、医師や病院のためでなくあくまで患者本位で行われるべきであるとするなら、その一環として、患者自身が納得のいくまで複数の医師の診断を仰ぐことのできるしくみを、極力少ないコストで実現していく必要があると思う。
    <訂正>聖隷三方原病院は静岡県浜松市にあると、現地ご在住の某有名日記作者の方からご指摘をいただいた。さっそく訂正させていただきます。なお合わせて「聖隷からのデータ提供を好んで受け入れる医療機関は少ないそうです。」との情報もいただいた。
【新しく知ったこと】
  • 8/5夜のNHKのニュースによれば、エリザベス女王のお母様が98歳の誕生日を迎えられたそうだ。恐れながら、お母様がご存命であるとは全く知らなかった。で、お名前のほうだが、「エリザベス皇太后」と言われるそうだ。女王と皇太后が同じ名前というのも初めて知った。とすると、「エリザベス」というのは、そもそも姓なのだろうか名なのだろうか。エリザベス・テイラーという女優も居たと思ったが、そちらのほうは名前だと思うのだが...。どうもこの方面は苦手だ。
    <追記>やぎのめさんから誤植のご指摘を受けた。どうもどうも。
  • 同じく8/5夜のNHKニュースによると、アイスクリームがいちばんよく売れるのは気温が27度前後、それを超えると「かき氷アイス」のほうが売れ行きがよくなるのだという。
【リンク情報】
【生活記録】
【家族の出来事】
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。【 】部分は簡単なコメント。)】
  • 和歌山のカレー毒物混入事件では、当初、青酸中毒と見られていた患者がじつは砒素中毒である可能性が強まる。