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1月18日(日)

【思ったこと】

980118(日)
[心理]センター試験に出題された心理学の問題、テロル(前編)

 昨日の日記にもちょっと書いたが、今年のセンター試験の英語の第4問に心理学の実験の紹介文のようなものが出題されていたので、今日はこれをネタにしたいと思う。但し、受験生がこれを読んでも何の役にも立たない。念のため。
 センター試験の問題は、解説を目的として全文転載しても著作権法違反にはならないはずなので、今日のところは、まず問題の概略を示すことにしたい。といっても英文のままでは誰も読んでくれそうもないので、私のほうで適当に訳しておく。
 心にはっきりとイメージを描くことができたら、その状況をよりよく理解することができるだろうか? この問題に答えるべく、ある心理学者が3群に分けられた子どもたちに、2つの問題を解かせた。いずれの問題にも「間違いやすいワナ」が含まれている。1つは目覚まし時計問題、もう1つは満潮問題であった。
  • (a)目覚まし時計問題:“ジョンは夜の7時に、昔からあるスタイルの目覚まし時計が翌朝の9時に鳴るようにセットした。そして目覚ましが鳴るまで寝た。彼は何時間寝ただろうか?”(たいがいの人々は13時間と答える。目覚ましが夜の9時に鳴ることに気づかないからである。“1時間”が正解だ。)
  • (b)満潮問題:“あるボートが波のない海に浮かんでおり、6段の梯子がかけられている。梯子のいちばん下の段から海面までは10cm離れている。各段は30cmの高さであった。さて、満潮の時には海面は80cm上昇する。満潮の時、海面より上にあるのは何段か?”(これに対しては“3段”と答えがちである。海面が上昇してもボートはそのままの高さにとどまると思ってしまうからだ。しかし実際には潮がボートを持ち上げるので、梯子は常に海面の上にある。したがって正解は“6段”である)。
[Image]  13-14歳の子どもたちを35人ずづランダムに3つの群に分けた。それぞれ「言語教示」群、「絵提示」群、「イメージ」群とする。各群は、それぞれ(a)と(b)の問題を以下の方式で与えられ、解答を求められた。「言語教示群」は、印刷された問題の入った封筒を受け取った。「絵提示」群は、印刷された問題の入った封筒ととも、以下のような絵(Picture1とPicture2)を与えられた。「イメージ」群の封筒には、印刷された問題とともに、それぞれの状況をできるかぎりはっきりとイメージしなさいという教示が入っていた。各質問に対する正答数、誤答数を表1、表2にそれぞれ示す。

表1 目覚まし時計問題
解答\群言語教示群絵提示群イメージ群
正答_0_2_3
誤答353332
表2 満潮問題
解答\群言語教示群絵提示群イメージ群
正答_7_510
誤答283025


次の問いに入れるのに最も適当なものを、それぞれ下の(1)〜(4)のうちから一つずつ選べ。
  1. 「言語教示」群において、満潮問題と比べた目覚まし時計問題の正答の比率は
    (1)2:5 (2)3:10 (3)5:4 (4)11:10
  2. 「イメージ」群における正答数が他の2群より多かったのは【一部意訳】
    (1)目覚まし時計問題のみ (2)満潮問題のみ (3)両問題とも (4)ない(両問題とも異なる)
  3. 満潮問題において、イメージを描くことで正答に達した数は絵によって正答に達した数の
    (1)2倍 (2)3倍 (3)半分 (4)4分の1
  4. 「イメージ」群が問題とともに受け取ったのは
    (1)実験を行った心理学者が描いた絵 (2)絵を描きなさいという教示 (3)絵、および、イメージをできるだけ早く浮かべろという教示 (4)できるかぎりはっきりとイメージを描けという教示
  5. 本文または表の内容と合っているものを次の1.〜4.のうちから一つ選べ。
    1. 絵の助けによって、目覚まし時計問題でも満潮問題でも、いずれにおいても正答が増加した。
    2. 満潮問題においては、絵の提示はイメージを用いる場合より問題解決により有効であった。
    3. 目覚まし時計問題では、ジョンは朝9時になる前に起こされた。
    4. 満潮問題では、海面が上がってもボートが同じ地点にとどまることに気づくことが重要である。
 以上が問題の全訳である。次回はこれについて心理学の立場からのコメントをしたいと思う。
【ちょっと思ったこと】
  • 土日は、某所で丸二日間公務に従事したため他の方の日記を殆ど読めていないが、阪神大震災の被災者に対する公的な援助・補助のあり方についての議論がいくつかあったようだ。私自身は岡山在住のため、この件については正確なコメントができない。一般論としては一律の金銭援助ではなく、被災者の自助努力にポジティブな結果を与えるような支援態勢が望まれる。具体的には生活資金を提供するのではなく、雇用機会を十分に確保することが第一だろう。とはいえ、高齢者や病弱な人々もおられるし、精神的なダメージから立ち直れない人々もいるだろうから、原則論だけで片づけてしまうわけにもいかないだろう。
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【新しく知ったこと】
【リンク情報】
【生活記録】
【家族の出来事】
【スクラップブック(翌日朝まで)】
※“..”は原文そのまま。他は長谷川による要約メモ。【 】は長谷川によるコメント。誤記もありうるので、言及される場合は必ず元記事を確認してください。
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